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この結果、各部の応力は、FEM解析値と実測値が良く一致し、その値についても、問題ないものと考えられた。(図59)
また、プロトタイプエンジン用に連接棒大端の幅を10mm減少させた場合についてもFEM解析を実施し、使用可能なことを確認した。(図60〜62)

 

3.7 シリンダヘッド

シリンダヘッドは、吸排気弁や吸排気ポート、燃料弁など、幾つかの要素を組込んだ複雑な部品である。
この部品には、触火面の温度上昇によるき裂や剛性不足などによる吸排気弁の当たり不良、ヘッドガスケットからのガスの吹き抜けなどが起きるため、これらへの対応を検討する必要がある。
最高圧力の上昇対策および温度上昇対策として、運転、停止の繰り返しの温度変化によってシリンダヘッドに生じる熱疲労に対する材料の強度を調査するため、現状、用いられている片状黒鉛鋳鉄(FC)と強度と熱伝導率のバランスから候補材料と考えられるバーミキュラ鋳鉄(FCV)について、高温低サイクル疲労試験を実施した。
これにより、両材質が同じ温度に加熱されると仮定した場合、約400℃までであれば、バーミキュラ鋳鉄の方がより大きい熱応力に耐えられることがわかった。
この結果を基に、それぞれの材質を用いてシリンダヘッドのFEMによる弾塑性解析を実施した。
この結果、材質を片状黒鉛鋳鉄とするよりも、バーミキュラ鋳鉄とした方が、より高い負荷に耐えられることが分かった。(図63)
また、水流試験も行い、その結果による形状変更も合わせ、材質をバーミキュラ鋳鉄としたシリンダヘッドを製作した。

 

a)260mm試験エンジン
高出力化を達成するためには、燃焼室内に効率良く給気を導入する必要があるため、シリンダヘッド空気流れ試験装置を用いて、定常流空気流動試験を実施した。(図64)
この結果、吸・排気ポート共に、十分な空気流量を確保していることを確認した。(図65、66)

 

 

 

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